白鞘の剣客

2/33
495人が本棚に入れています
本棚に追加
/59ページ
文久3年 肌寒い風が吹き抜ける今日この頃 昼間の暖かさはどこへやら、 夕時には涼しい空気が辺りを覆う 日が暮れるのも、心なしか早くなった気がする 足早に屯所に帰る私は、だんだんと暗くなる道を独り歩いていた 沖「寒いですねぇ…」 と言っても、ほんの少しだが… 白月が、いつの間にやら黄色く姿を変えている 日課になった私の外出も、今日で6日目 足腰を鍛えるついでだと思えば、少しは報われた 結論から言うと、何の進展もなかったのだが… 沖「お疲れ様」 ?「沖田先生!お帰りなさいませ!!」 ―京都守護職御預かり壬生浪士組屯所― そう書かれた看板 その奥が私の家だ 私こと沖田総司は、ここ壬生浪士組の副長助勤で江戸から上った…世に言う田舎侍とゆー奴で お上を守ろうと立ち上がった浪士の一人なのだが… 皆はさておき私は、忠誠心など持ち合わせていない 味気ない毎日 人を斬ることに快楽を覚えつつある体 だんだんと冷めていく心と裏腹に、私の思いは幼くなっていく 現実逃避というヤツだ 沖「土方さ~ん♪」 スパーンッ! 土「nと…毎度毎度…」 沖「…♪」 土「いい加減にしやがれーーッ(怒」 ちなみにコレは、土方歳三 浪士組の副長で女誑し! 私の玩具ですが、そろそろ機種変したい所です 土「テメェ 開ける時は静かにしやがれ! 墨が飛んだだろーが(怒」 沖「そんなの知りませんよ! こっちは誰かさんのために走り回ってるってゆ~のに(黒」 沖田の長い茶髪が揺れた 赤い髪紐 その先端に付いた鈴が土方の目に止まる 土「…で…見つかったのか?」 紫の瞳は観破したものの、答えを待つ そんな姿勢に、少しだけ苛立ちが湧いた 沖「簡単に言わないで下さいよ 白猫なんて、なかなか居るもんじゃありません! …擬きは居ましたけど;」 土方さんに頼まれた私は、白猫探しをしている あ~、理由は面倒なんで省きます! 兎にも角にも、猫を見つけ歩いている訳ですが…なかなか居ない ようやく見つけたと思ったら、うっすら柄があったりと 猫も猫で違うらしい 沖「私がこの6日、何匹の猫と鬼ごっこしたと思ってるんです?(黒」 そう、最近の私は、フラストレーションの塊だ
/59ページ

最初のコメントを投稿しよう!