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しかし、踵を返して踏み出す途端。
ぐーぎゅるぎゅるる。
背後から大きなおなかの鳴る音が。
くるりと再び方向転換。
ああ、なるほど。
お腹がめっちゃ空いていて、動く元気もないわけか。
わかるぞ少年その気持ち。私も空腹には耐えれなかった。
埋もれた少年の雪を払う。
そうして雪から出て来たのは、寒さでしっかり真っ赤になった、リンゴのような子供の顔。
少し抱きかかえてみたら、なんかほんのり温かかった。
「なんだ。ちゃんと生きてるじゃん」
少しは反応しようぜ少年。
見殺しにしちゃうとこだったじゃないか。
よっこらせ、と小さい体を担ぎ上げる。考えてたよりずっと軽い。
とりあえずなんかまあ。お持ち帰り一名です。
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