私と少年

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   少年をお持ち帰りして、数日。  食事し治療し睡眠とって。  餓死寸前、凍傷だらけの少年はすっかり健康になっていった。  しっかりご飯は三食食べるし。  寝るときゃしっかりぐーすか眠る。  ただ、何か気に入らないことでもあるようで……。  私とちっとも口をきいてくれない。  部屋の隅っこで三角座り。  完全不動、亀のごとき鉄壁ぶり。  たまに動くのは睡眠時。  さすがに床で眠るのは抵抗があるようで。  ソファの上で布団にくるまり、小さくなって眠っている。  朝、私が起きれば再び端っこ。  だいたい私が動いている時は、その定位置にいる。  感心すべきか、呆れるべきか。  ある意味、めちゃくちゃ規則正しい生活なんだけど……。  思わず、長くて重い息を吐く。  結局少年が私に声をかけたのは、私が少年を拾ってから七日目のことだった。
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