私と少年

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「…………」 「…………」  お互い椅子に座ったまま、何を言うでもなく見つめ合う。  もうどれくらいこうしてるんだろうか。  朝早く。私が疲れて眠るころ。  「少し話を聞いてほしい」なーんてことを言い出す少年に、紅茶を入れてクッキー焼いて。  そんでもってイスと机を引っ張り出して。  本で読んだ、ヒトの話し合う最高かと思える舞台を作り。  さあ、話せ話せと意気込んでみたのはいいけれど。  しかし、そこで始まったのは無言で始まる冷たい戦争。  どちらが口を開くことなく。どちらも少しも動くことなく。 湯気を立ててた紅茶はもう冷め切って。 ほんのり熱を感じるクッキーも。もうカチンコチンになっちゃった。
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