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いやな汗がだらだら流れる。
え、なに。
なんでずっと黙っているの?
話したいことあるんじゃないの……?
流れる汗は滝のように。
おい早くこの状況どうにかしろと、私が私をせかしだす。
やめてよして急かさないで。ボロが出るから。
私、結構余裕ぶってるけど、ヒトと話すのはじめてなんだよ。
え、行商?
あれはまた別。だって角生えてるもん。
意識すればするほどに、思考がぐるぐる空回りする。
パニック、パニック。そしてパニック。
楽しみたっぷり不安少々の私の心のステータスは、今や見事に大逆転。
不安たっぷり、動揺マックス。あとはスパイス程度の好奇心。
そうして何故そんな結論に至ったか。
私は皿の上のクッキー、それの一番でっかいやつを取り、バキッとそれをはんぶんこ。
プルプル震えて笑いながら「食べる?」なんて言葉を口にだし、私はもう半分を少年に差し出した。
そんな私の奇行ににびっくりしたか。少年は目をパチクリさせて――――いただきます、とぺこりと会釈して受け取った。
割って未だ自分の口より大きいそれを、二人一緒にモゴモゴ頬張る。
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