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きゅっと唇を引き締め、優しさに耐えようとしていたら、不意打ちで泥濘んだ秘所へと指先を滑らされ、深月は先ほどとは違う身に迫った恐怖を覚えた。
初めての行為に、いまこのときは少しばかりの怖さが募る。
けれどそれを雅人に知られたくなくて、左手の中指を甘く噛んだ。
しかしそんな深月の行為に気が付いた雅人は、恥じらう深月の様子に薄く笑みを浮かべながら、表に向けた深月の手のひらにチュッと唇を落とした。
柔らかい唇の感触が、そんなところに落とされるとも思わず、深月は驚いて目を見開く。
上に覆いかぶさる雅人を見上げると、少しばかり意地悪そうに感じる笑みを浮かべて、深月を見下ろしていた。
「声、出してよ」
「ぁ……や、だ……ッ」
「ミヅは、強情だね」
言葉は優しく、触れる手も優しい。
けれど突き入れられた指先は少しだけ強引さを感じさせる。
何度も前後する指先は遠慮がなくて、深月の奥を性急に暴いていく。
躊躇いもなく身体を開かせる指先が、雅人のモノだと思えば、それもまた後悔の気持ちが湧きあがる。
しかしそれは一瞬のことで、徐々に内部が擦られる感触が、自分の身体をふわふわさせてきていた。
「んん……ッ!」
「気持ちいい?」
「聞かない、で、……ッ」
入り込んできた異物に、拒絶を示すように体の中がうねる。
それを雅人は指先で感じながら、まるで自分が求められているかのようなその動きに、片頬が上がった。
「ミヅ、俺のこと、嫌い?」
「ん……っ、な、に……?」
「なんでも。なんでもないよ」
軽く意識が遠退きかけた瞬間尋ねられた問いに、深月は聞き取れず問いただすも流された。
とても大事な質問だと思うのに、初めての何もかもが深月の思考を奪っていく。
それが心地よくも、戸惑いが大きいのに、止めることも敵わずに、ただただ雅人にすべてを委ね、支配されていた。
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