6482人が本棚に入れています
本棚に追加
/306ページ
ー…
送迎会から一週間後。
さて、俺こと皆川大輔はこれから生活するであろう聖龍学園の学生寮へと向かっている。
駅のターミナルでは独特の声の放送が流れ、人々の喧騒に声が掻き消される。
取り付けてあった、鏡の前で身嗜みを整える、父譲りの琥珀色の瞳、短く切り揃えた黒い髪、いつも通りの俺だ。
大きな荷物を抱えた俺は意を決っして、電車に乗り込んだ。
と、ここで予想外の出来事が。
「もう最悪…何で私が電車で学園まで行かなきゃならないのよ!?」
人が多く、座る場所がなかったのか、罵声を携帯電話に浴びせながら俺の横の席に座った。
途轍もない美女が。
(うぉぉぉっ!)
目を引く絹のような金色の髪は肩まで伸び、肌は雪のように白く、青空を詰め込んだような真っ青な瞳。スタイルも申し分なく、どこかの国の姫様のような顔立ち。
まるで『美』を凝縮したような美少女だった。
女経験の少ない俺は横の席にこんな美女が座るだけでドキドキしてくる、我ながら情けない神経だ。
「えぇ…もういいわ、あとでパパに連絡する。」
一言残して金髪美女は通話を断ち切った。
ヤベェ。どうしよ、こんな可愛い人が俺の隣に、助けて母さん!微かに流れてくるいい匂いに顔が緩む。
最初のコメントを投稿しよう!