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「さっきの要領でやってみろ。」
「は、はい。」
緩い感じの先生とはいえ、直々の指導という事で周りの視線も自然と俺に向く。恥ずかしいな…
集中……集中…体を包む…大事なのは…「イメージ」。
段々と体が内側から熱くなってきた。魔力を纏っているのが分かる。
…案外、いい所まで来てるぞ?これは成功するんじゃ…
「…あ。」
「!!」
そう思い気を緩めたのがいけなかったのか、再び魔力は湯気のように虚空に溶け去った。
周囲の生徒達は再び鍛錬を開始するが、なんとなく分かる。今、何人かは俺に侮蔑の線を送っていた。
「アハハ、すんません。ド下手なもんで…」
「………ん。」
固まった表情の上杉さんを再起動させるべく、俺自ら話しかける。思い出したように上杉さんは手に持っていたスピードガンのような機械をしまった。
(…?何だ?)
どうも上杉さんの表情が固い。何というか、唖然って感じだ。やっぱり身体強化もできない生徒は稀なのかな…でも、他になんか隠してるような気がする。
「あの、どうかしました?」
「あぁ、実は…」
俺の問いに重苦しい表情で口を開く。これは相当深刻そうだ。
「洗濯物干してきたけど、今日の降水確率が…」
「んな事どうでもいいです。」
ハァ、心配して損した。
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