第2話ー引き合う者達ー

13/14
6483人が本棚に入れています
本棚に追加
/306ページ
「さっきの要領でやってみろ。」 「は、はい。」 緩い感じの先生とはいえ、直々の指導という事で周りの視線も自然と俺に向く。恥ずかしいな… 集中……集中…体を包む…大事なのは…「イメージ」。 段々と体が内側から熱くなってきた。魔力を纏っているのが分かる。 …案外、いい所まで来てるぞ?これは成功するんじゃ… 「…あ。」 「!!」 そう思い気を緩めたのがいけなかったのか、再び魔力は湯気のように虚空に溶け去った。 周囲の生徒達は再び鍛錬を開始するが、なんとなく分かる。今、何人かは俺に侮蔑の線を送っていた。 「アハハ、すんません。ド下手なもんで…」 「………ん。」 固まった表情の上杉さんを再起動させるべく、俺自ら話しかける。思い出したように上杉さんは手に持っていたスピードガンのような機械をしまった。 (…?何だ?) どうも上杉さんの表情が固い。何というか、唖然って感じだ。やっぱり身体強化もできない生徒は稀なのかな…でも、他になんか隠してるような気がする。 「あの、どうかしました?」 「あぁ、実は…」 俺の問いに重苦しい表情で口を開く。これは相当深刻そうだ。 「洗濯物干してきたけど、今日の降水確率が…」 「んな事どうでもいいです。」 ハァ、心配して損した。
/306ページ

最初のコメントを投稿しよう!