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本の装丁です。画期的です。
こんな本は見た事がありません。
表からは縦書き作品。
裏からは横書き作品。
この斬新な横書き作品こそが『abさんご』でした。
ひらがなを多用し、名詞と代名詞を極力、排して独特の言い換えで表現しています。
更に「かっこ」とカタカナ表記を一切使わずに記述されます。
難解さの一因が、ここにあります。
読者を混乱させた理由の二つ目です。
速読出来ないのです。
ひらがなの連続と共に、嘗て見た事がないほどの独特の言い回しに、読者は驚きます。簡単に読み進められぬことの出来ないもどかしさに困惑するのです。
しかし、これこそが黒田夏子の試みで、使い古された常套句を他の言葉に置き換えて表現したなら、どうだろう?
もっと自由で個性的な表現になりはしまいか?
単に解りやすくではなく、もっと自由に奥行きのある表現。
敢えて読者の想像力に訴えかけるような記述。これこそは、日本語表現の限界を打ち破る新たな試みと言えるかも知れません。
この、誰も真似の出来ない表現方法を提示したところが革新的でした。
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