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彼は足元に置いてあったボストンバッグから特撮ヒーローが使うようなベルトを取り出し、腰に巻き付ける。
「オペレーティングシステム『MESSIA(メサイア)』起動──」
ベルトに取り付けられたレバーを右手で一度引き出し、180度回転。そして彼はその状態のまま、ガシャンと元の位置まではめ込む。
「変身!!!」
瞬間、目映い光が少年を包み込んだ。数秒後に光が消えた時、そこに居たのは無力な一人の少年ではない。
紅蓮のマントをたなびかせて佇む、誰よりも強く、誰よりも勇敢で、誰よりも優しい“英雄(ヒーロー)”だった。
「みんな、待ってろ……今行くから」
彼は翔ぶ。多くの人間が自分の助けを待つ、敵陣の中枢へと。
──これは一人の少年が世界を救うまでの、ありきたりな物語である──
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