第1話:やあ、いらっしゃい。

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日が沈む。 街が昼間のざわめきを失い、夜の独特な冷たい空気を帯びていく… さあ、BAR『Snowdrop』をOPENする時間だ。 「さて、今日はどんな人が来てくれるかな?」 わくわくしながら入り口を見つめる ―――開店してから二時間は経つが、お客さんは来ない。 そろそろ目が疲れてきたよ。 「いや、来ないのが普通か…」 ぼそりと呟いた言葉が静かな店内に吸い込まれる。 そう、 わざわざ人目に付かない所に店を開いたのだ。 なので、たくさん来られても困るというものだ…が、さすがに経営者としては苦しい所がある。 カランカランッ 不意に乾いた音色が響く 「んっ…やあ、いらっしゃい」 入り口の方を向くと不思議そうな顔をした旅人が入ってきていた。 「……開いてます…よね?」 無理もない、誰もお客さんが居ないんだ。 そう考えるのが正しいよ。 「うん、開いているよ ささっ、どうぞ座って」 「あっ、はい」 ギィッ… コトッ お客さんが座ったタイミングでコップを出す 「疲れているだろうからね、冷えた麦茶のサービスだよ」 この速さには自信があるんだ。 多分、他の人にはマネできないと思う。 「あ…ありがとうございます…」 旅人は、ごくごくと喉を鳴らして麦茶を飲み干した。 ああ、いい飲みっぷりだよ。 だけど、常連さんにはなってくれそうにないね… 「ふぅ…」 さて、始めますか。
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