第1話:やあ、いらっしゃい。

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「最近、何か面白いニュースはあるかい?」 旅人は、少し考える。 何を考えているのか… それはわからない。 まあ、わかってもおもしろくない。 「面白いかはわかりませんが…変な集団が最近暴れまわっているようです」 変な集団… 「へぇ…変な集団… どんな集団なのかな?」 「いや、名前しか知らないんですけど…」 「うん、どんな名前?」 さあ、教えて… 「…生贄団… 何か危険な集団らしいですよ」 いけにえ…違う… 「ああ…うん…それは初耳だね 私も気をつけなきゃね」 その後も、他愛の無い話を続けた。 そして、来店から2時間ほど過ぎた頃… きょろきょろと旅人が周りを見回しだした。 「ん?どうしたんだい?」 「いやっ、あの…誰も来ませんね」 「ああ、そうだね… いつもは、もう少し来るんだけどね」 言うが早いか 旅人が、ガタッと席を立つ 「ん、おかえりかい?」 「えぇ…もう出なきゃ…」 何か違和感を感じとれたのだろう… 惜しい人材だ。 また会ったら、スカウトしてみようかな。 いや、会えたら…か。 「そうか…じゃあ、送るよ」 「えっ…?送る?」 カウンターから出て旅人の横に立つ。 大丈夫、ちゃんと還すよ。 「ご来店、ありがとうございました… では、行ってらっしゃい」 「えっ!あのぉっ?!」 カランカランッ 開いたドアの先に旅人を突き出した――――
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