森本鈴編

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「…コウちゃん、朝だよ!」 俺を起こす声がしたのだが今は起こしてほしくなかった。 「…………。」 夢心地の今が最高の時間なのだ…。 ただ、そんな気持ちをこいつは汲み取ってくれなかった。 「そうくるか…ならば、これでもくらえぇ!」 「うぇっ!」 俺の布団の上に勢いよく飛び乗ってきた。そのせいで、目が覚めてしまった。 「何すんだ鈴!」 「私を無視した罰だ!」 理不尽だと思った。 「…それになんで俺の部屋にいる!?」 「コウちゃん…私にかかれば、部屋に忍び込むことなど造作もないことを忘れたのかなぁ?」 …やっぱり理不尽だと思った。 時計を見ると、今は朝の7時だ。俺はだいたい7時半に目覚ましを設定しているのでちょっと早い。 俺の夢心地を返して欲しいものだが、目が覚めてしまったので起きることにした。 「…鈴…着替えたいから俺の上からどいてくれ…。」 「おっと、こいつは失敬。」 鈴は俺の上からどいた。 「そういえば、コウちゃんの部屋久しぶりだなぁ~。」 「…。」 「おっ、まだこのおもちゃ持っていたのか!?」 「……。」 「どうしたのぉ?着替えないの?」 「………。」 「あっ…わかった。着替えさせてほしいのか!?」「違うわ!お前が部屋から出ないから着替えられないんだ!」 年頃の男の気持ちを察してほしい。 「おぉそうだったのか。それじゃあ下で待ってるよ。」 そういうと鈴は部屋から出た。 「はぁ……。」 俺は朝から溜め息をつくはめになったのだ。
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