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川南町立太刀原中学校は川南町でも評判のいい学校だが中身はそうではない。
いじめや先生の問題発言が絶えない学校だった。
そこに東京から三年三組に転校してきた桐谷泰久は最初は大人しくしていたが徐々に慣れてきたようだ。
六月二十一日、1時限目は体育。
跳び箱で中々飛べない中山詩織は栗山先生に罵声を浴びせられる。
「三段くらいも飛べんとか?、情けねぇと思わんとか。」
「小学校で何を習ってきたっか、こんなもん先生の娘は10歳やけん飛べるとぞ。」
クラスメイトは大笑いするが泰久は無表情のまま。
「おい桐谷お前ならこれ飛べるやろが、こいつに手本見ちゃれ。」
栗山先生に指示される泰久は三段積まれた跳び箱の前に立つ。
「お前ならそこでも飛べるか、こいつとは違ってね。」
栗山先生が言葉を発した瞬間、泰久は三段積まれた跳び箱を思いっきりひっくり返した。
「桐谷何しちょっとか、元に戻せ。」
栗山先生は泰久を叱るが泰久は栗山先生に口撃する。
「飛べねぇ奴は飛べねぇんだ人にはなぁ苦手ってもんがあんだよ、そんなもんも知らねぇのかてめぇは。」
「ろくに指導もしねぇでさぁ飛んで見ろってかぁ、飛べたら教師なんていらねぇだろうがバカ野郎。」
物凄い剣幕で怒る泰久に栗山先生は言い返せなかった。
授業が終わり詩織は泰久に
「桐谷君、さっきはありがとう。」
と御礼を述べると泰久は当然のように
「礼なんていらねぇよ俺は詩織の気持ち考えて物言わねぇ先公に頭にきただけだよ、それより早く着替えてこいよ授業遅れるぞ。」
言って教室に戻っていったのだった。
教室に戻った泰久は男子から冷やかしを受ける。
「お前案外物言うんだな。」
「まさか… 、詩織の事好きだったりして。」
色々言われたが泰久は笑いながら
「お前らさぁ、俺が黙ってると思ってるのかぁ。」
泰久は東京の中学校に通っていた時、中二して中三のワルから一目置かれる程の存在で一部の先生から問題児扱いされていた。
それを知った男子はビックリして言葉が出なかった。
二時限目は数学、渡辺先生が矢部達樹を指名し黒板に書いてある連立方程式を解くように言う。
達樹は全く分からない為に黒板に書く事が出来ないでいた、すると渡辺先生が
「適当に書いて席につけ、時間の無駄だから。」
泰久はその言葉に怒りを覚えるがぐっとこらえる。
達樹が答えを書き席に戻った。
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