物憂いな姉

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物憂いな姉

 俺には二つ年上の姉がいる。  高二の冬。まさに思春期の真っ只中にいる俺の部屋に、ノックもせずに入り込み「人生ってすばらしい、そうは思わない?」と喜色満面で抱きついてこようとする、困った姉だ。  ギリ未成年なのに酔ってんのか?  俺は学年末テストに向けて勉強する手を渋し休めて、姉のほんのりと赤らむ頬を押し返した。 「酒臭いんだけど」 「呑んでませーん」  どの口が言う……。  朝から悪酔いするふざけた姉を見ていると、自分がその弟であることが嫌になる。 「同じ血を引いているとは思いたくないほどの酔いっぷりだな、おい」 「酔ってる? 酔ってな~い。あはははは! そんなことより聞いてよ、聞いてよ。聞けよぉー!」 「マジで、大丈夫かお前……」
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