第一章… 闇に笑う者

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『ふむ…いまいち要領を得ませんが…その夢は、美奈子さんの無意識が見せた夢ではありませんね』 背中をソファーに預け、腕組みをしながら、清四郎はちょっと難しい表情を見せた。 『私の夢じゃない?』 『ええ…それは外部からの干渉で見せられた夢です』 驚く美奈子に、清四郎はそう断定して見せた。 『藤堂博士も…全く大したものですね。魂だけになってもまだ…美奈子さん。僕の寝室に行きませんか?』 清四郎の申し出に、美奈子は驚いた表情を見せた後、顔を赤らめた。 『え…それって…』 『ははは、僕は確かに貴女に興味はありますが…流石に、こんなあからさまな誘い方はしませんよ。貴女にもう一度夢を見てもらい、藤堂博士から出て来てもらうためです。ん…僕がルールを無視して貴女を襲う男に見えますか?』 清四郎の言葉に、美奈子はまた顔を赤らめて首を振った。 『い、いえ…信じてますから…』 『ははは、では寝室に案内しますよ』 清四郎はにこやかに笑いかけ、無駄の無い柔らかな仕草で美奈子に立ち上がるよう、促した。
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