第一章… 闇に笑う者

8/14
前へ
/23ページ
次へ
『あら…あなたは?人の夢に入るなんて悪戯が過ぎること』 清四郎の前に立った、サーカスの軽業師が着るような衣装を身に纏った女は、そう言うと愉しげに笑った。 『ははは、確かに悪戯が過ぎたかもしれないですね。けど…それは貴女も一緒でしょう?』 『ほほほ…そうかも知れませんわ。けど、せっかく来たのですから…楽しんでいってくださいな』 彼女の後ろに、いつの間にか巨大なライオンが居た。 女は婉然と微笑みながら、そのライオンの口の前に頭を傾ける。 その次の瞬間、ライオンの口が大きく開き… 彼女の頭を食いちぎった。 辺りに聞こえるのは、ライオンが獲物をごりごりと咀嚼する音だけとなった。 『ふむ、これは美奈子さんが怖がる訳だ』 清四郎は表情を変えず、指を鳴らした。 その瞬間… ライオンは消えさり、世界はまた闇に包まれた。
/23ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加