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『あら…あなたは?人の夢に入るなんて悪戯が過ぎること』
清四郎の前に立った、サーカスの軽業師が着るような衣装を身に纏った女は、そう言うと愉しげに笑った。
『ははは、確かに悪戯が過ぎたかもしれないですね。けど…それは貴女も一緒でしょう?』
『ほほほ…そうかも知れませんわ。けど、せっかく来たのですから…楽しんでいってくださいな』
彼女の後ろに、いつの間にか巨大なライオンが居た。
女は婉然と微笑みながら、そのライオンの口の前に頭を傾ける。
その次の瞬間、ライオンの口が大きく開き…
彼女の頭を食いちぎった。
辺りに聞こえるのは、ライオンが獲物をごりごりと咀嚼する音だけとなった。
『ふむ、これは美奈子さんが怖がる訳だ』
清四郎は表情を変えず、指を鳴らした。
その瞬間…
ライオンは消えさり、世界はまた闇に包まれた。
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