書籍化作品とその批評、批評への批判

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 それと、このサイトには小説という分野を変に神格化している人が多いように感じます。  小説と言うのは所詮サービスの一形態であり、貴賤などありません。面白いか面白くないか。それだけが作品の評価に繋がるんです。  ぶっちゃけた話、そこらの惣菜と変わらない程度のものです。  小説:面白かった  惣菜:美味しかった  そんなものです。  小説は文学だ――  なんて仰る方もおられますが、そんなものは売り上げには何の関係もないんですよ。  栄養バランスだけが良くて味が最悪の惣菜なんて売れません。  同じように、文学的にハイレベルでも読んで面白くない小説なんて売れません。売れなければ残りません。売れ残りはしますけど、いずれ表舞台から姿を消します。  ですが、面白いのなら文章がめちゃくちゃでもいいのかと言えばそれには首を傾げます。  というか、基本的にそれなりの量本を読んできている人からすれば文章がめちゃくちゃな小説は面白くないので評価されませんが。  小説の第一前提条件として、読者を疲れさせないがありますからね。  内容で引き込む魅力を持っているというプラス点よりも、矛盾やおかしな日本語で読者を苛立たせるマイナス点の方がよっぽど大きなウェイトを占めています。  魅力を作るのは難しく、欠点を作るのは容易いんです。  『エブリスタは、てにをはや日本語がマズくても、それを補って余りある革新的な良いところを持つ作品が出る可能性がある場所だと思う』  などと運営公式アカウントさんは語っていましたが、それには全く同意できませんでした。  作品への否定材料となりうるものこそが読者の目につくんですよ。  本当に革新的な魅力を持っていても、悪い部分というのはそれを簡単に塗りつぶしていくものです。むしろ、その革新的な部分とやらさえその欠点のせいで悪いものと判じられる可能性があります。  魅力は一つ作るのにも多くの労力を割きますが、欠点は気を抜けば結構簡単に出てくるものです。  それをどれだけなくせるかが小説における第一段階と言えるでしょう。  そこがおおよそ出来て、ようやく20点といったところですかね。  そこから先は作者自身の力量で魅せるも殺すも何でもアリの、つまりはストーリー展開。ここからが書き手の本当の腕の見せ所です。
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