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「そして、この職場も家から一キロやし」
「はあ? なんやそれ? じゃあ、この街から二十五年、行動範囲一キロだけってことか?」
「まあ、たまに買い物するときは、ミナミやキタのほうへ出かけてたりするけど……日常の拠点は、そうやね」
樹里が湯飲みを持って、お茶をゴクリと飲んでため息をつく。
はー。つまり、箱入りも箱入りっちゅうわけやな。
それで、年のワリに色気ないんやな。
もしかして、彼氏とかも家の近所の幼なじみとか、そんなとこ違うか?
「じゃあ、この街のこと知り尽くしてるやろ?」
「そんなことないけど……まあ、近所のおばちゃんとかとは仲ええから、色んな情報は聞くけど」
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