お昼にウナギ

8/11
前へ
/185ページ
次へ
「そして、この職場も家から一キロやし」 「はあ? なんやそれ? じゃあ、この街から二十五年、行動範囲一キロだけってことか?」 「まあ、たまに買い物するときは、ミナミやキタのほうへ出かけてたりするけど……日常の拠点は、そうやね」 樹里が湯飲みを持って、お茶をゴクリと飲んでため息をつく。 はー。つまり、箱入りも箱入りっちゅうわけやな。 それで、年のワリに色気ないんやな。 もしかして、彼氏とかも家の近所の幼なじみとか、そんなとこ違うか? 「じゃあ、この街のこと知り尽くしてるやろ?」 「そんなことないけど……まあ、近所のおばちゃんとかとは仲ええから、色んな情報は聞くけど」
/185ページ

最初のコメントを投稿しよう!

423人が本棚に入れています
本棚に追加