初めての面接

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「うん。なんせ、物を売ることしか頭に無い人らやし、一日の売上の数字見るだけやし。その数字をはじき出すのに、どれほど大変か分かってないんや。まあ。わたしかて、社長さんや常務さんらがお客にどんな売り込みしているか分からんもんね。お互い様やけど」 「まあ。言うてることは分かりますけど」 「だから、わたしの顔見たらコーヒー飲みたくなるんちゃいます?」 「イヤ……そんなんじゃ無い思いますけど」 「ううん。絶対そうや。ここに来て五年目やし、もう、あの人らの条件反射に組み込まれているんや」 樹里が長年の、うっ憤を晴らすように半分ヤケクソ気味にそう呟いた。
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