プロローグ

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プロローグ

それは物心付いた時からだった 《避けろセシルっ!》 何度も呼ばれ俺を抱き締める男 そして必ず俺は力なく、震える声で呟く 《ノア……?》 抱き返した俺は生暖かい感触に手を見る そこには必ず血塗られていて それと共に俺を抱き締めている男は崩れ落ちる ひゅーっと吐く息は此方まで苦しくなる程苦しそうで 《お前に…戦は似合わないと……言っただろう…?》 《嫌だ…嫌…っ》 共に崩れた俺…… いや、セシルはノアを抱き締めて狂った様に嫌だ、何故だと呟くんだ 泣き崩れているセシルの顔を撫でるノア そして綺麗に笑うんだ 《私は…お前の笑顔が…好きなんだがな……》 《ノア…っ》 その男は綺麗な顔をしていた 金髪で、惹かれる程深い蒼の瞳 鼻筋が通っていて、深過ぎない顔立ち 優しく、聖母かと思える程儚く その男は 《愛しているよ…セシル……。》 愛を囁いて息を引き取る そんな夢 目を開けると決まって涙が流れている 一体化してるんだと思う じゃなければ俺は あんなにあの男に恋い焦がれていない  
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