黒緑

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  「寒…っ」 移動車から降りれば冬の冷たい風が頬に当たる。 ぼそっと独り言のようにそう呟くのは大倉だ。 ここ数日は新しく決まった主演映画の仕事が積み重なりメンバーとは一週間近く会っていない。 去年は八周年だの何だので毎日のように顔を合わせていたのに。 そして今日は久しぶりの全員集合での雑誌撮影。 懐かしい顔ぶれを見るのは楽しみだが大倉にとっては更に楽しみなことがある。 寒さに圧倒されながら建物の中へ入る。 楽屋の扉を開けばそこには当たり前のようにメンバーがいた。 そして、恋人の姿も。 「横山くん!」 横山の姿が視界に入ればすかさずその愛しい人の名前を呼ぶ。 びくっと肩を上げた横山は慌てて振り返り大倉の存在を確認すると緩んだ顔で「大倉、」と優しく微笑む。 そんな二人を周りのメンバーなにやにやと口許を緩ませながらみていた。  
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