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「……あ」
二人の声が、重なった。
「い、らっしゃいませ。お好きな席へどうぞ」
ぎこちないながら、なんとか笑顔を崩さずに対応する俺の前で目を点にして固まる……
同じ大学の…中島君、だっけ?
別に、前通ってた高校はバイト禁止だったけど、今の大学ではそんな決まりも何もないし、只のカフェなのに。
そんなに固まるほど驚くことなんだろうか。
「…あの?」
少し遠くから常連の客が歩いてくるのが見えて、急いで中島君に声を掛ける。
扉の前で突っ立たれても、少し困る。
他の客が詰まっちゃうし。
「あっ…すいません」
「いえ」
中島君はなぜか謝りながら、少し奥の席に座った。
その様子をぼーっと見つめる。
「山田」
「あっはい、今行きます」
店長に呼ばれて、俺は一旦裏に戻った。
バイト中、バイト中。
心の中で、頬を叩いた。
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