裕≒涼

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「かしこまりました」 営業スマイルを向け、テーブルから離れた。 「あ!圭人!ケーキセット一つと、ミルクティー。俺、ミルクティー淹れるから、セットお願い」 「解った。あ。ねぇ、あそこの背の高い人って山ちゃんの知り合い?」 さっきのやり取りを見ていたのか、バイト仲間の圭人が珍しく食いついてきた。 「いや。今日初めてちゃんと話したんだけど…よく同じ授業取ってて。高校も同じだったんだよね。」 「そうなんだ。……はい。ケーキセット」 いつの間に盛り付けたのだろう。 小さく四角に切られたケーキが六つ。 お皿には、圭人がチョコペンで書いた英語。 ……なんて書いてあるかは解んないけど。 俺だったら三十分以上かかってしまいそうな、お洒落なケーキの飾り。 「だから俺はいつまでも接客なんだよなぁ……」
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