裕≒涼

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料理は得意だし好きだけど、不器用だし、デコレーションのセンスとか無いし。 そんな事をぼやきながら、中島君のテーブルへ向かった。 「お待たせしました」 「…あ。ありがと」 音楽を聴いていたのか、1テンポ遅れてからの返事。 中島君はイヤホンを耳から外し、ケーキセットに目を移した。 テーブルから離れようとした、その時。 「これっ何て言うケーキ?」 中島君に、呼び止められた。 「あ……それは、チョコレートケーキです。その右が、ズイバックチーズケーキと言って、周りに付いている細かいのが、胡桃とクッキーです」 よく聞かれる質問に、いつものように答えた。 流石に、チョコレートケーキは聞かれたこと無いけど。 見た目でわかるもん。 「へぇ…チーズケーキ。こういうの、全部答えれるの?……あと、敬語じゃなくってもいいよ?知り合い、だし…/」 敬語… 「あ……一応ね。一年以上やってるし、よく聞かれるからね。あ、でも…殆どが酔っ払いだったり、おじさんばっかり」 説明する意味も無く思えてしまうような人たちばかり。 これが可愛い女の子だったら喜んで説明するんだけど……。
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