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一安心したところで、そういえばと小さな疑問が湧いてきた。
「ところでさ、なんで入江は平気だったんだろ?」
いつもと何も変わらなかったよな。と、
『バカな事しやがって』って髪をぐしゃぐしゃにしてくる彼に言った。
「ああ、そんな事か」
なんともないような風に、彼は言った。
「そんなの、前からお前の事が好きだったからに決まってるだろ?」
元から好きなんだから、何も変わらない。
役得だったなと笑う彼。
さっきまでは確かに安心感を与えてくれていたはずの彼のその笑顔が、今は何故か少し怖い。
「取説、全然読んでなくてよかった」
今度は優しく髪を梳きながら言う。
どうやら説明書には、他にも注意書きがあったらしい……。
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