一夜・ご近所さま

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 …誰も居ない。  だが歌は未だ聞こえ続ける。  取り分け害は無さそうだから、放っておいても問題は無いだろうと多可を括っていたが。  数日後だったか。  僕は『ご近所様』に殺されかけた! いや本気で、殺されると心から危機感を覚えた。  金縛りの一種だろうか。体が動かない!加えてご近所様の両手が僕の口に蓋をしていたので息が出来ない!  体の芯まで冷えてしまいそうな程、ひんやりとしたご近所様(というか此処まで来たら最早、同居人のような気もするが)の両手の感触は今でも忘れられ無い。  僕は幼い頃から、金縛りにあう事はよくあるのだが、その時に限って声が聞こえる。  『これは俺のだ』  『寄越せ寄越せ』  ……と。  今思えば、ご近所様は幼い頃からずっと僕の近所に居たのかもしれない。  近所付き合いも楽じゃない。
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