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「で?何かしたかい.弥凪」
散乱した道具等を片付けながら弥蜘は尋ね、一緒に片付けをしていた焔愧がチラリと弥凪を観た.
弥凪は手を止め、黙々と片付けをし続ける弥蜘に
「電書も読んでないのね……」と呆れていた.
『電書』其は現世でいうメールの事であった.
「あはははw…迷惑なのが多くてさ、電書よりゲートのが早いし」
笑いながらそう話す弥蜘に弥凪は、最早何も言う気もおきなくなっていた.
「………最近、央土<オオツチ>の様子が可笑しいんだが其と関係ある?弥凪」
片付けが終っていた焔愧は店内に設置してある大きなソファに腰掛け、紺地色の表紙に覆われた書類を片しながらそう尋ねると、弥凪は「はい.申し訳御座いません」と頭を下げるのだった.
「央土ってヴァチカンにいった藍衣<アオイ>の事か?若樣」
ソファの背に腰掛けた弥蜘が尋ねると焔愧は「……あぁ」とだけ答えた.
其を聞いた弥蜘は頭を下げた侭の弥凪に視線を戻し、少し苛立ったような声色で話し掛けた.
「――何があったか話せ、弥凪」
威圧あるその声色に弥凪は、ビグッと体を震わせたのが見て判った.
焔愧は聴こえないよう溜め息を溢し、苛立っていた弥蜘を静かに戒めたのだった.
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