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壁へとぶつかった際に落ちてきた本や物等に埋もれた弥蜘が、殴られた頬を抑え椅子へと座りずれてしまった眼帯を直しながら、怒り狂う弥凪をチラリと観ると其処にずっと座っていた青年に話し掛け始める.
「いててて…ごめんなぁ~若様.お茶入れ直そうか?」
『若樣』という言葉に、弥凪はバッと反応し弥蜘の視線を追うと先程迄居なかったその方がいつの間にか其処に現れ座っていた.
「えっ?!いつからそちらに居らしたのですかっ焔愧<エンキ>樣」
カチャン…とカップを置くと『焔愧』と呼ばれた青年はふぅ と一息つくと慌てふためいている弥凪に視線を向け声を返した.
「……昨日 妖世で依頼を承けてな。一晩泊まらせて貰っていたんだ。久しいな、弥凪」
バツが悪そうにしどろもどろになる弥凪をニヤニヤと眺めている弥蜘に気付いた弥凪はキッと睨み返すのだった.
「何で焔愧樣の事黙ってたのよっ弥蜘」
「話そうとしたらお前が殴って来たんだろう?」
弥蜘は詫びる様子もなく答え、律儀に弥凪の分のお茶を出すのだった.
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