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「と、とにかく!」
夏目が俺の机を叩いた。不利な立ち回りな空気をリセットしたかったのだろう。
「坂城君はもう帰って!もう校門閉まっちゃうよ!」
いやに必死だな。帰さないと生徒会の先輩さんに怒られるからだと予想してみる。
しかし、そんなの俺が知ったことではない。メールが返信されるまでは意地でも粘ってやる。
それ以前に、俺、このままだと帰る場所ないっていうね。不可能なことはできませーん。
「構わないからもうちょっと残らせてくれ」
「ダメ!夜の学校は危ないんだよ!」
「ゴーストバスターの心得なら既に超配管工弟髭の幽霊マンションで習得済みだぜ?」
「そういう意味じゃないの!」
「バイオだって4までやったからゾンビは一通りなら……」
「もー、ダメなものはダメ!」
おおっと、頬を少し膨らませてご立腹の様子だ。
全然覇気のない怒りが可愛いいなぁと微笑ましくなっていると、突然地面が光ったような気がした。
なにかと思って足元を見ると、俺を中心に、青色に光る魔方陣が展開されている。
「うん……?」
俺はもう一度夏目に視線を戻した。涙目になりながら、身体中から青色のオーラを滲み出していた。
………不味い。チートが来る。からかいすぎた。
「おい待てやめろやめてくだ」
「飛べ!【ポイントアウト】!」
夏目が魔法を唱えた瞬間、俺は机ごと敷地外の道路に転移した。
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