① 白銀色に煌めく鋒

6/24
前へ
/78ページ
次へ
「と、とにかく!」 夏目が俺の机を叩いた。不利な立ち回りな空気をリセットしたかったのだろう。 「坂城君はもう帰って!もう校門閉まっちゃうよ!」 いやに必死だな。帰さないと生徒会の先輩さんに怒られるからだと予想してみる。 しかし、そんなの俺が知ったことではない。メールが返信されるまでは意地でも粘ってやる。 それ以前に、俺、このままだと帰る場所ないっていうね。不可能なことはできませーん。 「構わないからもうちょっと残らせてくれ」 「ダメ!夜の学校は危ないんだよ!」 「ゴーストバスターの心得なら既に超配管工弟髭の幽霊マンションで習得済みだぜ?」 「そういう意味じゃないの!」 「バイオだって4までやったからゾンビは一通りなら……」 「もー、ダメなものはダメ!」 おおっと、頬を少し膨らませてご立腹の様子だ。 全然覇気のない怒りが可愛いいなぁと微笑ましくなっていると、突然地面が光ったような気がした。 なにかと思って足元を見ると、俺を中心に、青色に光る魔方陣が展開されている。 「うん……?」 俺はもう一度夏目に視線を戻した。涙目になりながら、身体中から青色のオーラを滲み出していた。 ………不味い。チートが来る。からかいすぎた。 「おい待てやめろやめてくだ」 「飛べ!【ポイントアウト】!」 夏目が魔法を唱えた瞬間、俺は机ごと敷地外の道路に転移した。
/78ページ

最初のコメントを投稿しよう!

68人が本棚に入れています
本棚に追加