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「だからってこれはねーよ……」
俺の虚しい呟きが、誰もいない教室では嫌に響いた気がした。
俺自身、ぼっちが嫌いな訳じゃない。一人カラオケは最高だと思うし、勉強は一人の方がずっと捗るタイプの人間だ。
しかし、謂ってみれば俺はにわかに分類されるぼっちだ。普通に友達もいるし、コミュ障でもない。
それに、好きで20時過ぎまで学校に残り自習してまで孤高を味わおうとするほど、一人に並々ならぬ拘りがあるわけでもない。
今はこうせざるを得ないのだ。
簡単に言えば、家出させられた(受身)みたいな。もうね、超理不尽が俺の身に降りかかっているわけで。
意味がわからない?
安心しろ、俺もだ。
何が原因か知らないが、鈴葉を怒らせてしまったのだ。
その激おこ具合たるや、チェーンロックが掛かった扉の写メを添付した、「今日は許さんぞバカ兄貴」と打たれたメールをご丁寧に送ってくれたほどで。
つまり、これらが意味するところとして、「今夜は家に入れさせないぞ☆」と言いたいのだろう。いつからお前は俺の鬼嫁になったの?
こんな日に限って親は二人とも残業あると言ってたから頼れないし、一時間おきに送っている情状酌量の余地を求めたメールもまだ一通も返ってこない。
詰んでいる。もう手はない。
俺にできることといえば、ワンセグを付けながら予習を坦々とこなし、女神鈴葉が降臨するのを待つ悪あがきのみ。
希望はある。どんなときも諦めちゃいけないっていろんな人が言ってた。
そう言い聞かせて、早くも7時間は経過していた。
まだだ……奴が寝る23時まではまだ……!
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