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それからうちらは、家のマンションのエレベーターで家の部屋がある九階まで上がった。
このマンションは階段があるのだが、人が全く通らない。
家に入る気になれなかったので、しばらくそこでおしゃべりすることにした。
空は綺麗なグラデーションで、暗い方には星がたくさん見えた。
そんな空のしたにはキラキラ輝く夜景が広がっている。
九階の階段から見えるこの景色は絶景だった。
夕方はかなり寒いが、今はそんな寒さもあまり感じなかった。
「もう一回、最後にもう一回だけ、抱き締めてもらいたかったな…。」
つい、本音がこぼれる。
つられて涙も。
亜樹斗はそんなウチをみて、そっと抱き寄せる。
「光稀、よーく聞いてね?
今光稀は、裕也君と別れて辛いと思うけど、これには全部、意味があると思うんだ。今はまだわからないけど、もしかしたら、裕也君と別れなかったら、これから先に起こることや、これから光稀が出会う大切な人も、全部がなくなっちゃうかもしれないんだよ。」
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