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……やっと、電話から解放された。
「ふわー! ご馳走さまでした!」
電話を切られたばかりの俺は、ハンバーグを食べ終えた雪亜と目が合う。
「ゆーま! 美味しかったよ」
にんまり、と満面の笑みを向ける雪亜。
「そっか……。美味しかったならよかったよ。今から外出するんだけど、雪亜も着いてきてくれるかな?」
俺の問いに雪亜は俯く。
「どうした?」
二度目の問いに、雪亜は俺に背中を向けた。
「雪亜は行きたくないの」
小さな声でそう言った雪亜を、俺は少しの間、ただ黙って見ていた。昔のあの頃に比べたら、外出好きになった雪亜が嫌がるなんて珍しい。
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