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「どうして行きたくないのか、言ってごらん? 外出はそれから考えるから」
雪亜の肩を数回、軽く叩いた。
数分の沈黙のあと、雪亜が言う。
「雪亜は、あの人キライ。あの人嫌い……なの」
今にも消えてしまいそうな、か細い声。
「あの人って岸間さんの事? 大丈夫だよ。雪亜……おいで?」
その場で動かない雪亜を、俺はソッと包み込むように抱き締めた。小柄な雪亜の体は驚くくらい細くて、小さくて、脆く感じた。
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