ぷろろーぐ

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『久し振りだな、優真』  携帯の向こうから聞こえるのは、凛とした声。 「お久しぶりです。岸間さん」  自分も負けないくらいハッキリとした口調でそう言った。耳元では、微かに聞こえてくるクラシックの音楽と混ざり、何か飲み物を啜る音が聞こえる。  また、この人は愛飲している焙煎コーヒーでも飲んでいるのだろう。電話をするのも久々だが、相変わらず変わっていない。 『長らく連絡していなかったから、懐かしいな。ところで、古崎の様子はどうだ?』  コトン、とコーヒーカップを置く音が木霊する。古崎とは、雪亜の名字である。 「雪亜ですか? 雪亜は元気ですよ。食事もよく食べるし、睡眠も出来てます」  俺がそう言うと、岸間さんはホッとしたように電話の向こうで安堵の息を吐いた。 『やっぱり、あの時……お前に古崎を預けて正解だったな』  どことなく安心した様な、自信満々な様な、そんな声で岸間さんが言う。俺は、ただ言葉を発することもなく、苦笑いを浮かべた。
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