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『昔をーーあの時を思い出したか? 優真』
不意を突くように言われた言葉。
昔を懐かしんで脳裏に浮かんでいた走馬灯は、岸間さんの言葉で、途中でプツリと途絶えた。
「……まあ、懐かしい思い出ですよ。でも、俺は雪亜を本当に許せたんでしょうか?」
俺のその言葉に、岸間さんは暫く間をあけてから物静かに言った。
『その質問に対して私が言える事は一つ。お前が一瞬一秒でも古崎雪亜を許そうと思ったのなら、それが許した事になるんじゃないか?』
一瞬一秒でも許そうと思ったなら、か。
あの日、俺は許せないはずの雪亜を許すことが出来たのだから、それが許した事になるなら……まあ、いいか。
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