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しかし、本当に見ているだけだ。なにもする事がない。たんたんと続く事務処理に目を通すくらいだ。作業の準備も見ていて面白いものではない。医療関係のしかも、システムの実用性に関する実証の足掛かりでしかないものの情報など本業の方でも使えない。
「刈谷さん、俺、飲み物買ってきます。何がいいですか?」
「そうか。じゃあ、コーヒーをくれ。メモリーキーパーさん方は何かいりますか?うちのに買いに行かせますんで。」
「一般区の飲み物なんて今更飲めない。どうせ自販機だろう。」
折角の部長のご好意に余計なものまでつけて恩を仇で返す。こうして、今の部長のヘアスタイルができてきたのだ。
「じゃあ、失礼します。」
病室を出ると、中から、
「待つことも出来ないんだな。これだから凡人は。」
「申し訳ありません。」
と聞こえた。これだから特別区は。ただ、部長には申し訳なかったなと反省した。コーヒー、高いの買ってこよう。
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