私は誰

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某所。忙しないオフィスのようなその場所にはいつになく緊張感が漂っていた。 「如月!情報の確認は取れたか?」 「はい。セントラルメディカルセンター付近にて多数のメモリーキーパーが目撃。ですが、その後多くは分散し各一般区省庁や専門機関に向かっている模様です。鷹宮さんどうします?」 「それ、まとめてくれ。もうすぐ行動班との合同会議が始まる! …特別区はいったい何を考えてる!外交庁の特別区関係からは何も聞いてないぞ…」 こんなことが何の前触れもなく起こるなんて想像もしなかった。理不尽なものだ。今までこの組織の情報処理班は行動班と一線を画してきた。その方が知り合いが少なくて済む。知人は少ない方が感情論に左右されなくていい。まして、行動班に知り合いがいて自分達の握る情報を見ていれば気が気でないだろう。情報漏洩のダメージも少ない。だが、それらも今日で終わりだ。大事に隠し続けてきたこの組織は間もなく暴かれる。 数分後には会議室のようなその部屋は満員になっていた。まるで刑事のような雰囲気をまとった、いかにも行動班という人が数多くいる中で一区画の小さなスペースに複雑な機材と他とは違う雰囲気の人が数名いる。その中に如月と鷹宮はいた。 「 今から緊急マニュアルに則り、行動班、情報処理班の合同会議を始める!席につけ!事態の指揮官は私、行動班総監督官、岩岡孝徳が務める。まずは、事態の確認だ。情報処理班!」 「はい。情報処理班責任者、鷹宮浩二です。うちの総指揮、如月から報告します。」 「情報処理班総指揮、如月令見です。事態について報告します…」
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