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「で、忌宮くんはこんな雪の夜にココヘ何しに来たのかね?」
マニュアルであろう質問を駐在さんは次々してきた。
「橋でちょっとありまして、どうしたらいいのかと……」
「橋で、と。──で、橋で何があったのかね?」
「えーと……」
何があったかありのまま話しても信じてもらえるわけがない。なかなかそれらしい方便が出てこないまま、時間を無駄に消費していく。
「──……うーん、難いことかね?」
なかなか答えられない僕に駐在さんは腕を組み、困り顔で唸る。
「なんと説明したらいいか。できたら一緒に橋まで来てもらうと助かるんですが……」
口で説明するより見てもらった方が早い気がしてきた。
もしかしたら『アレ』は僕の見間違いかもしれない。車に轢かれた動物の死体をカラスとか猛禽類がくわえてた、もしくは、掴んでいたのを偶然僕の近くに落としてしまったのではないかと都合のいいようにも思い始めてもいる。
そして、駐在さんがそれを肯定してくれればいいとも思っている。
説明しようとすると『アレ』が落ちてきた時の視覚、嗅覚、触覚などを余計に思い出し、徐々に嘔吐感をもよおしはじめてくる。
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