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俺の目が間違いでなければ、このガキは俺に拾ってくれと言っている。
「あー……そういう詐欺なら間に合ってるんで。」
俺が言うと、慌てたように首を横に振るガキ。
これも詐欺の手口なのかもしれない。
「早く家に帰れ。ガキ。」
一瞬、悲しそうに顔を歪めたガキは、すぐに俺に泣きそうな目線を向けてくる。
「じゃあな。」
その目線はシカトで、玄関の扉を閉めた。
マンションの自室に戻り、急激に疲れが押し寄せてきた。
これは夢だ。
そう自分に言い聞かせるようにして、重い瞼を閉じた。
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