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「ゆ…………き?」
ゆっくりと目を明けて、確認する。
目の前の少女は泣きながら、
『慎さん、慎さん!』
しっかりと声を出しているのだ。
想像していた通りの、透き通るか細い声が二人だけの観覧車の中から聞こえる。
「雪、お前声『良かった。良かったよー……慎さんー……』
泣きながら俺にすがり付くようにぎゅっと抱きついてくる雪。
その小さい体を抱き締め返しながら、自分の不甲斐なさを感じた。
「ごめん。
ごめんな心配かけて。
不安にさせて、悪かった。」
ここが頂上だとか、高くて怖いだとか、そんな事を考えている暇がないくらい、胸の奥が熱い。
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