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何も言わずに無言の土下座。
「そういうの、迷惑だから止めろ。」
ブンブンブン!
絶対に止めないとでも言うかのように、頭を地面に擦り付けるガキ。
一向に止める気配がない。
「ハァ……言いたいことがあるなら、ちゃんと口で言え。」
頭をバッと上げたガキは、餌を値だっている魚のように、口をパクパクと動かしている。
微かに、ガキの喉から絞り出した空気のような音がする。
「あ……?お前、喋れないのか?」
……コクコク
遠慮がちに首を縦に振るガキ。
どうりで、何も言わないのだと思った。
どうやらこれは、何か訳ありか?
「ちゃんと理由を説明しろ。」
思えば、自分らしくない。
常に冷静、冷血、氷の王子さまが学生時代のあだ名だった俺が、まさか面倒事にわざわざ首を突っ込むような真似をしたんだから。
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