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マサヒロは、コンビニの袋をがさがささせながら部屋にやってきた。
「これ、カスミさんの分。サワー多めの方がいいでしょ。それと、はい、ハーゲンダッツ」
「あ、ありがとう。わー、こんなにいろいろ?」
「だってこの前デザート食べられなかったとき、ダッツダーッツダダッツって歌ってたし」
「余計なこと覚えてなくていいよ…」
私は袋を受け取って、適当に座って、と声をかけた。
はーい、とマサヒロはテーブルの前に向かう。
なんか、変な感じ。ソワソワする。ここに誰かが来たのは、引越しのとき以来だからか。
私の部屋の床にあぐらを書いたマサヒロは、上着を脱ぎ、ネクタイを緩めた。
なんだかその動作にどきりとする。
よく見ている光景なのに、な?
私はスーツ皺になるからかけとくよ、と上着を拾い上げた。
「ていうか自分ち戻って着替えてくればよかったのに」
「だって」マサヒロは頭をかきながら続ける。「せっかくカスミさんが料理作ってくれるのに、待たせたりしちゃいけないと思って…」
…またそういう可愛いことを言う。
はいはい、といなすふりをしながら、私は料理を並べた。
「もっかい言っとくけど、苦情は受け付けないからね」
「すげー、うまそー!」
マサヒロは私の言葉をきいていないようにはしゃいだ声をあげた。
と言っても、本当に大したものは作っていないのだけど。
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