ご相伴に預かります

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うちには男性用の丼などないので、マサヒロが持っているのは私と同じサイズの普通の茶碗なのだが、同じものの筈なのに随分と小さく見える。 うちの男性陣の手ってこんなんだったっけ? そもそも実家では男性用のものを使っていたし、そんなことを気にしたことがなかったので、うまく比較出来ない。 歴代彼氏も別にとりわけ手が大きいとか気にしたことはなかったかもしれない。 「カスミさん?」 マサヒロの手と茶碗を凝視していると、不意に名前を呼ばれた。 マサヒロが首を傾げてこっちを見ている。 「ほんとに美味しいですよ?お世辞じゃないです」 なんだかとんちんかんなことを言ってくる。…どうやら私が料理の評価を気にして黙り込んでいると思ったようだ。 「ああ、ごめん、ありがと、そうじゃなくて、」私は自分の手を延ばした。「手!」 「手?」 きょとんとしてお茶碗をおき、自分の手を見るマサヒロの左手を私は掴み、手の平と平を合わせた。 「ほら、手、おっきくない?」
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