彼氏に話せる?

11/15
5562人が本棚に入れています
本棚に追加
/36ページ
その感覚に酔いたかったけど…… 「ここじゃ、やっぱり……」 私はそのままの体勢で、 正志さんの手を制した。 「真琴の部屋に行く?」 私は首を横に振った。 だって、高杉が帰ってきたら困るし……。 「じゃ、近くのホテルいこ」 ここから正志さんの家まで戻る気はないらしい。 「今日は、する気なんだね」 と私が微笑むと、正志さんは、唇にキスを落とした。 軽く噛むように下唇を吸い取る。 「朝からずっと真琴のこと考えてたしな……」 といたずらっぽく笑う。 「何、考えて仕事してたの」 と私も自ら正志さんの唇を求めた。 その時、玄関がガチャっと開く音がした。 「あれ、まこっちゃん帰ってきてんじゃん。 今日はお泊まりだと思ってたけど、 彼氏とけんかでもした?」 と言いながらリビングへ入ってきた。 私だけじゃなく、男の靴もあったでしょ。 気づいてよ。と内心思いながら、 ぱっと上半身を起こして、 まくり上げられたTシャツをなおした。 高杉はなんの躊躇もせず、 リビングへ入ってきて、私たちを見て固まった。 そりゃ、そうだ。 私たちは、上半身を起こしているけど、 足は絡まったまま……。 今まで、そういう雰囲気だったのは、一目瞭然だ。 「あ、どうも……」 と正志さんは、その場で、軽く会釈をした。 私は、正志さんから離れ、立ち上がる。 「えっと……」 紹介をしようとして、口をつぐんだ。 二人がじーーっとにらみ合ってる。 数秒かな。 固まってた高杉が、口を開いたと思うと 「いちゃつくんなら、自分の部屋でしろっ!」 と吐き捨てて、 バタンと自分の部屋に入って行った。 なんだ、この状況……。
/36ページ

最初のコメントを投稿しよう!