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「あの……。私が浜崎です……」
と消えそうな声でぼそっと言う。
「え?浜崎さんって、あ、妹さんじゃなく、
お兄さんの方で……えっ?」
とまじまじと私の顔を見る。
「いえ……。私が浜崎真琴です」
「は?もしかして、浜崎さん、女?」
ようやく事態をつかめたようで、
その高杉さんは、素っ頓狂な声をあげた。
「本当に裕美さん?男……だよね?」
「俺が女に見えるかよ。
まじかよ。浜崎さんって女か!」
何回かメッセージをやり取りしているときは、全く疑ってなかったのに、
まさか、男だったなんて。
「どうして、大家さん、
何にも言ってくれなかったんだ」
と私は大きな声で叫んで、
アパートの1Fの大家さんのところへ直行した。
アパートの大家さんを思い切り信用していた。
高杉さんが「いい人」って言う前に言うことがあるはずなのに。
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