指のない国

第三章 第一中央病院

交替は、夜の9時から3時間ごと。1日3回交替する｡

二人一組の警備員のうち、一人が、1時間ごとに病院内の巡回に行き、もう一人は門の辺りに残る。

但し、夜中の0時に来る警備員は、1時の巡回に一人が行った後、もう一人は、1時10分頃、一旦、病院内の自販機にジュースを買いに行く(しかし、2分程で戻ってくる。)

と言うことは、その2分の間に門を突破し、中に入ることができればいいわけだ。

俺は早速、2日後にそれを実行した。(次の日にしなかったのは、次の週にスケジュールが変わることをおそれたためだ。)

予定通り、1時に1人は巡回に行き、1時10分頃、もう1人は自販機にジュースを買いに行った。

｢今だっ！｣

俺は急いで門の中へ駆け込んだ。

ジュースを買いに行った奴がいつも出てくるドアの、隣のドアの取っ手を掴むと、そいつがドアを開けて出てくるのと同時に俺は、病院の中へ入った。

奴は前にしか注意がいってなかったらしく、真横にいたはずの俺には全く気付いた様子はなかった。