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数日後、仕事終わりに珍しく腹が減った俺は、店で朝食を食べる事にした。
マスターはその日の新聞を広げて読んでいたのだが、ある記事のところで、手がとまった。
「近々、リックのやつこの街にやってくるらしいぞ」
「誰だよ、それ?」
「俺の知り合いの息子さ。今じゃ有名な奇術団の団長らしいがな」
「ふぅーん」
俺は飯を食いながら、マスターの話に生返事をした。
「そういえば、リックの弟子に通称『サウザンドなんとか』という超美人がいるらしいぞ。噂くらい聞いたことあるだろ?」
「知らないなぁ。とにかく、朝食美味しかったよ。また、今夜」
マスターに別れを告げた俺は、そのまま自分の家に帰った。
さらに数日後、いつものように夕方に起きると家の外が騒がしいのに気づいた。
どうやら、特殊警察にこの家の場所が知られてしまったようだ。
俺は、気づかれないように裏口のドアから、急いで外へ出て、店へと走った。
それから、間もなく、俺の家の正面のドアが鈍い音を立てて壊れるのを遠くで聞いた。
「特殊警察だ!ポランスキー、観念してさっさと出て来い!!」
「畜生、いないぞ!」
「まだ、遠くには行っていないはずだ。よく探せ!」
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