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受験生の冬は楽しさの欠片もない。 学校だって3年生は自由登校だから友達もあんまり来ていない。 あたしは家で勉強出来るタイプじゃないから学校に来てるけど… 25席ある机のうち24席が空席。 という状況はちょっと寂しい。 そう思った時、進路室のドアが開いた。 『あ、高橋さん。学校来てたんだ。お疲れ様。 化学どうだ?無機とか暗記完璧か?』 白木先生だ!! 「おはようございます。 化学頑張りましたよ。私なりに 暗記はボチボチです。」 『そうか。ちゃんと初詣で合格祈願したか?』 …ドキッ。 「…はい」 …嘘。あたしは受験生なのに "告白が上手くいきますように" ってお願いした。 『先生もちゃんと、高橋さんの合格祈願しといたからな。 安心して勉強しろよ』 1会話終わるごとに向けられる先生の笑顔にキュンとする。 あたしの合格祈願してくれたんだ…。嬉しい… でもあたしだけじゃないよね。 この学年全員含めての祈願だよね。 あたしは再び数学のプリントに目を移す。
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