2424人が本棚に入れています
本棚に追加
山奥に存在する、俗世とはある意味隔離された全寮制男子高校『春麗学園』。
その校門前で一人の男子が困り果てていた。正確には困りながら驚いていた。
「でっけえー……」
今日からこの学園に通うことになった藤野幸(ふじのこう)は思わず呟いた。
タクシーの中、遠目に見えた学園も大きかったが目の前にするとその大きさもひとしおである。
インターホンは見つからない。監視カメラのようなものも目に見えない。
キョロキョロと見渡したあと、仕方ないとため息をついた。
頭に被ったカツラに手を当て、メガネを押さえる。ずり落ちないことを確認し、
「よし!」
と意気込み鉄柵に手をかけた。
……登ってやるっ。
最初のコメントを投稿しよう!